レーヴァテインについて

 ほとんど露出してないのに、やたらとゲームで見かけるレーヴァテイン。
 スルトの持つ剣だってよく言われるけど本当にそうなのかな。

レーヴァテインとは

 レーヴァテインの名は「スヴィプダーグの歌」という詩にのみ登場する。
 この歌に登場する巨人によると、レーヴァテインはニヴルヘイムの門でロキが鍛えたもので、ユグドラシルの最も高い枝にいる鶏ヴィゾフニルを殺すことができる唯一の道具であるらしい。また、「レーギャルンの箱」に入れて九つの錠に守られ、シンモラが番をしているという。

 名前の意味については「裏切りにみてる枝」「害なす魔の杖」など書籍ごとにバラけている。
 いずれにせよ「枝」あるいは「杖」とされているのは確かだ。枝や杖は「剣」を表すケニングとして表れることがある。レーヴァテイン=剣と解釈することは十分に可能だ。(剣のケニングにはしばしば植物が用いられる)
 おそらく、剣あるいは杖の類と限定できそうだ。更に踏み込んで「殺害する」役割を念頭においた結果、剣が採用されるのだろう。

スルトの剣だよ説

 多くのファンタジー系の書籍ではスルトの持つ炎の剣であると書かれている。直接北欧神話に関係しない漫画やゲームでも、レーヴァテインといえば炎の剣、というイメージが強い。そして大概は強力な武器の類である。

 シンモラはスルトの妻であるから、レーヴァテインはムスペルヘイムにある=スルトの剣と解釈したのだろう。
 ラグナロクの時、スルトは炎の剣を持って攻め寄せる。即ちスルトの剣=世界を滅ぼしうる力を持つ剣、レーヴァテインは強力な炎の剣である、と連想していったと予想できる。

スルトの剣じゃないよ説

 個人的には、レーヴァテイン=スルトの剣説には否定的な考えだったりする。

  1. 作られた場所
  2. シンモラが封印していること
  3. ヴィゾフニルを殺せること

 まずは1.について。別の書籍では「冥界の門の下」となっているが、どちらにしろ南方のムスペルヘイムとは正反対の北方で生みだされたということになる。このことから、炎と近しい属性を持っている可能性は低いように思えるのだ。

 2.について。スルトの剣であるなら、シンマラが管理する必要は無いのではないだろうか? おまけに厳重な錠まで用いている。
 おそらくレーヴァテインは炎とは敵対する属性、あるいはそれに近いものなのではないのか。にも関わらずムスペルヘイムにあるというのは謎だが。

 最後に3.である。ヴィゾフニルはユグドラシルの最も高い枝から、大樹の枝を照らしているのだという。
 空から降り注ぐ光というと、太陽あるいは月といった天体を連想する。北欧神話において、これらの天体はムスペルヘイムの火が源となっているのだ。
 この点から考えると、レーヴァテインはムスペルヘイムの属性に近いものを殺しうる存在と解釈できないだろうか。

 ではレーヴァテインとは何か? ニヴルヘイムとの関連も含めると、吹雪の力を持つものではないかと思われる。悪天候により天体が隠れる=殺される、といった具合に。
 また、雪は水が変じた姿であるから、炎と敵対する属性も内包していることになる。

 剣なのか杖なのかは不明だが、レーヴァテインは吹雪を引き起こす力を持っているというのが考察の結論となる。

否定材料

 とは言っても、完全に解決したわけではない。ヴィゾフニルの光はスルトとシンモラに悲しみしかもたらさない、という記述があるのだ。上記の説を採用するのなら、炎の縁者であるヴィゾフニルが何故スルト達を悲しませるのか説明がつかない。

 この記述のみを考察するのならば、ヴィゾフニルは雷の類と推測できる。ヴィゾフニルの光がもたらすのは雷雲の出現。それによって太陽や月が隠れ(殺され)、ムスペルヘイムの住人が身内の死を悼むのではないかと。
 「北欧神話物語」には稲妻のように、とあるから、実際そうなのかもしれない。

 中途半端だがここまででネタ切れ。結局結論は出ないのであった。

2014/04/20