もっと考えてみる(2)~ホウエン編~

豊かな自然から見る歴史

 RSE版の舞台であるホウエン地方は、これまでのカントー、ジョウトと比べると豊かな自然に包まれていると言えるだろう。砂嵐舞う砂漠に活火山、仄暗い深海、潮の満ち引きによって姿を変える洞窟など、ハードの性能がアップしたからだろうけれどこれまでには見られなかった環境も多く見られる。
 特に目を引くのは一部の町の作りではないかと思う。ヒワマキシティは樹の上に住居を作り、キナギタウンは海上にいかだを浮かべている。また、ストーリー終盤に訪れるルネシティは周囲を高い岩壁に囲まれており、海底を経由しなければ入ることが出来ない。普通ならトンネルでも作りそうなものだが…。

 ホウエン地方には、陸を広げたグラードン、海を広げたカイオーガの伝説がある。知名度はあまり高くないように思われるが、ホウエンの人々の生活には、これらの伝説が根差しているのではないだろうか。
 例えば、フエン火山は溶岩を目視できるほどの活火山だ。また131番水道周辺には激しい海流が流れており、昔から自然の脅威と隣り合わせであったことがうかがえる。りゅうせいのたき周辺には、隕石が落下したと思しき痕跡がある。隕石による被害も決して小さくはなかったはずだ。天気研究所やトクサネ宇宙センターは、それらを観測または研究するために建てられたようだ。

 そんな厳しい自然を、人々はポケモンと力を合わせて生き抜いてきたのだろう。レジシリーズが封印されていた遺跡に文章を残したくらいなのだから、それだけポケモンの存在は大きかったと想像できる。
 デボンコーポレーションなど高い技術力が窺える一方、豊かな自然にも包まれているホウエン地方。時に脅威となり、時に恵みをもたらす自然への畏敬が、風土にも現れているのかもしれない。

遺跡の謎

 レジシリーズ以上に謎に包まれているのが、レックウザがいた「空の柱」ではないだろうか。131水道にぽつんとそびえ立っているが、この建造物について話す人物も、関連するテキストも見つからず、何のために建てられたのかも不明だ。
 リメイク版では、大昔に接近してきた巨大隕石をレックウザの力を借りて破壊したという設定が追加されている。自然の驚異に立ち向かうために、レックウザを呼ぶことを目的とする施設と考えるのが無難なところだろう。

 過去の考察を踏まえて気になるのは、ホウエン地方にアンノーンがいる遺跡が無いことか。伝説のポケモンであるレックウザが関わる塔があれば、ジョウトのように遺跡があってもよさそうなものだが…。
 もしかすると、かつて「あった」のかもしれない。ダイビングで潜ることが出来る海底では、四色のかけらを拾うことが出来る。このアイテムはどうやら「昔に作られた道具」の残骸らしい。何らかの要因で、大昔の文明がアンノーンがいた遺跡とともに沈んだのだとすれば辻褄は合う。
 レジシリーズに関わる遺跡には古代文字と思しき点字がある。もしホウエン地方にアンノーンがいたとしたら、彼らは点字に似ていたのかもしれない。

2020/06/03