カントーの伝説ポケモン

 カントー地方の伝説ポケモンといえば、真っ先に思い浮かぶのは三匹の鳥ポケモンでしょう。
 サンダー、ファイヤー、フリーザー。いずれも高い能力を有するポケモンです。GB版赤緑のふたごじまにいるフリーザーに初めて遭遇した時は、レベル差のためにまったく歯が立たなかった、なんてこともあったと思います(私はそうでした)

 この三匹は、カントーの伝説ポケモンの中では別格の扱いであるように思われます。
 他の伝説ポケモンといえば、ミュウツーとカビゴン。ミュウツーは特殊な出生のためとして、カビゴンはカントー地方に二匹存在することや、大食漢を強調する図鑑の説明を見ても「ちょっと珍しいポケモン」といった扱いであるようです。
 また、この二匹が伝説ポケモンと呼ばれるのは、他のポケモンと違いシンボルエンカウトであることと、禁止クラス級の能力を持つ点が大きく、図鑑の説明を元にすれば「カントーの伝説ポケモン」と言えるのは先述の三匹の鳥ポケモン達のみなのです。

 滅多に見かけないポケモン、その姿を見て、人々は様々な想像を巡らせたに違いありません。ファイヤーの火の鳥伝説が代表的な一例です。
 今回はカントーに残る伝説の背景を掘り下げていきたいと思います。

タイプに隠された関係

 考察をするにあたって、三匹の鳥ポケモンの共通点に着目してみましょう。飛行タイプを持っている、という点です。
 カントー地方以外にも、飛行タイプを持つ伝説ポケモンは存在します。代表的なものとしては、ジョウト地方のホウオウとルギア、ホウエン地方のレックウザなどが挙げられます。
 隣接しあうカントーとジョウトに存在する計八匹の伝説ポケモン(サンダー・ファイヤー・フリーザー・ライコウ・エンテイ・スイクン・ホウオウ・ルギア)のうち、実に五匹が飛行タイプを持っているのは注目すべき点でしょう。

シンオウには飛行タイプの伝説ポケモンはいない

 シンオウ地方には飛行タイプの伝説ポケモンは存在しません。唯一シェイミのスカイフォルムが飛行タイプですが、シェイミは幻のポケモンであるため対象外です。

 シンオウの神話には、川にポケモンの骨を流すことで再び新たな命を得て戻ってくる、というものがあります。湖の伝説ポケモンの存在などから、シンオウ地方では「神聖な存在」を水の中に見出し、空は人が触れてはいけないor触れられない領域としていたのではないかと思われます。

 カントー地方一帯では、空を舞う鳥ポケモン達を、生命をつかさどる神聖な存在として見ていたのではないでしょうか。
 ポケモンタワーでの幽霊イベントで、幽霊の正体だったガラガラのおかあさんの魂が「天に昇っていった」と表現されていることから、カントー地方には天国の概念に似たものがあるようです。
 そして、天国に近い=空に近いほど尊い・神聖な存在という思想があったと推測されます。

 また、ジョウト地方はカントーと地理的に近いので、似たような思想があったとしても不自然ではありません。ポケモンを蘇らせたというホウオウ伝説が生まれたのも、上記のような考えが基にあったためではないでしょうか。

ポケモンタワーとの関係?

 セキチクシティの東ゲートの二階にある望遠鏡をご存知でしょうか。ここの望遠鏡を覗くと、フリーザーの姿と「大きな鳥がキラキラ光りながら海のほうへ飛んでいく……」とメッセージが出ます。
 ふたごじまで遭遇することから、このフリーザーはふたごじまへ向かっているのでしょう。

 画面を見る限り、ゲートの望遠鏡は北向きであると思われます。また、ふたごじまはセキチクより西側にあるので、フリーザーはセキチクの北を、東から西に横切る形で飛行していることになります。
 カントー地方の地理と照らし合わせると、フリーザーはシオンタウンのポケモンタワーから飛び立っているとも取れませんか?

 金銀にて、三年後のカントーではカビゴンを見かけることはありますが、伝説の鳥ポケモンはどこにもいません。発電所やふたごじまが無くなってしまった為のように思えますが……。
 あるいは、彼らが姿を消したのは、ポケモンタワーがポケモン達の眠る場所ではなくなったことも一因なのかもしれません。三年後のポケモンタワーはラジオ塔に変わり、ポケモン達の墓は「たましいのいえ」というところに(全てでは無いようですが)移されています。
 昔のポケモンタワーは、ポケモン達が眠る以外にも、伝説ポケモンに関わる役割を持っていたのかもしれません。

 伝説のポケモン。彼らがそう呼ばれる背景には、私達の想像を超える何かが隠されているのではないでしょうか。

2008/09/17