レジギガス達がのこしたもの
RSEにて新たに登場した伝説のポケモン、レジロック・レジアイス・レジスチル。(おそらく)古代の人々によって封印されたという彼らの設定には謎めいたものがあります。
また、ホウエン地方のキッサキ神殿にて遭遇するレジギガスも、頭に「レジ」が付く共通点から、何らかの関係があると思われます。
レジギガスも他の三匹と同じように「封印」されているようにも思えますね。先述の三匹を連れて行かない限り、石像のように動かないままなのですから。
彼らが封印されてしまったのは、一体何故なのでしょうか。
このページでは、上記に述べた四匹をまとめて「レジシリーズ」とします。
点字のメッセージの謎
わたしたち この あな で くらし せいかつし そして いきてきた
すべて ポケモンの おかげだ
だが わたしたち、あの ポケモン とじこめた
こわかったのだ
ゆうき ある ものよ きぼうに みちた ものよ
とびらを あけよ そこに えいえんの ポケモンが いる
上記は封印の最初のカギとなる、「おふれのせきしつ」に刻まれている点字です。文中の「ポケモン」は、おそらくレジシリーズを指しているのでしょう。
上から二行目までの部分から、古代の人間たちは様々なポケモンの助けを借りて生活してきたことが推測できます。「すべて」とあるように、ありとあらゆる活動にポケモンの力を用いていた可能性もあります。
アルフの遺跡などの各地にある遺跡も、そうして造られたのかも知れません。人間の助けになっていたポケモン達の筆頭とも言えるのが、レジシリーズなのではないでしょうか。
いわば、レジシリーズはアンノーンとは別の形で人間との関わりを持ったポケモンなのです。
しかし、三行目と四行目にあるのは、レジシリーズを恐れ閉じ込めたという記述。人間とポケモン(あるいはレジシリーズ)との間に何かがあったのは間違いないでしょうが、それは一体何なのでしょうか。
人間とポケモンの間に何らかの争いが起きた、という可能性は除外します。この場合どう贔屓目に見ても人間には勝ち目は無さそうですし、最後の二行には閉じ込めたポケモンの解放を願う意図が読み取れるからです。多分、レジシリーズを閉じ込めたのは本意ではなかったのでしょう。
勇気ある者、希望に満ちた者……この部分には、未来の人々に封印を解いて欲しいという願いが込められているように見えます。
伝説ポケモンとの関わり
古代の人間達が恐れたもの、そこにはホウエン地方に伝わる伝説のポケモン――グラードンとカイオーガが絡んでくるのではないかと考えます。
ゲームをプレイした経験のある方ならご存知の通り、この二匹のポケモンは天候を操る強大な力を持っています。グラードンは日照りで陸地を広げ洪水を治めた伝説が、カイオーガは雨降らしによって海を広げ、人々を渇きから救ったという伝説があることから、古代の人々は二匹のポケモンの力を知っていたのは確実でしょう。
グラードン達の伝説からもわかるように、人間達にとって彼らの力は天災にも恵みにもなりうるものです。それを見た人間は、ある時こう考えたのではないでしょうか。
「彼らの力を利用することが出来れば、自分達はもっと豊かになるのではないか?」と。
そして浮かび上がってくるのが、RSEの伝説ポケモンに関わるキーアイテム、「あいいろのたま」と「べにいろのたま」です。
敵役であるアクア団とマグマ団は、伝説のポケモンを操るためにこのアイテムを手に入れようとしていました。結局その目論見は失敗に終わるわけですが、これら二つの珠はどこからやってきたのでしょう?
ずばり、人間が望み、レジシリーズの力によって作り出されたものだと推理します。
古代の人間達は、グラードン(或いはカイオーガ)の力を借りようと、レジシリーズの力で珠を造らせた。しかし伝説ポケモンの力は人間達の予想よりも遥かに強く、上手く制御できず、逆に干ばつ、洪水といった災害を引き起こしてしまった。
グラードンの力を見て、自分達が過ちを犯したことに気付くと同時に、人間は初めてポケモンに恐れを抱く。そして、レジシリーズの力も危険なものなのではないか、と考えるようになった。
そうして、レジシリーズは人間達に封印されてしまった……このような背景があると考えるのですが、どうでしょうか。
敵役の首領にあたる人物は珠を使って伝説のポケモンを操ろうとしますが、伝説ポケモンは目覚めるなり暴走を始めます。
マグマ団(アクア団)の狙いが失敗したのは、眠りについているグラードン(カイオーガ)を強制的に目覚めさせるというのが、実際の珠の力だったためなのかもしれません。
眠っている伝説のポケモン達を死んでいる状態に見立て、珠を「蘇らせる道具」と考えれば、このアイテムがおくりびやま(ポケモンの魂を慰めるところ)にあったことも辻褄が合ってきます。
対応する珠を間違えたという線もありますが……。
単純にその存在を恐れたのではなく、レジシリーズの力を使うには自分達はまだ未熟であると考えたのだと思います。
ポケモン図鑑によると、レジアイスは「マイナス二百度の冷気を操り」、レジスチルの身体を構成するのは「地球上に存在しない物質」と考えられています。レジロックは「脳や心臓が見当たらず」、更に欠けた身体を新しい岩で補う能力があると言われ、一種の不死性さえ感じさせます。
いずれも、(ポケモン世界における)現代科学では解明できていない、いわゆるオーバーテクノロジーを連想させるものであり、古代の人間達の理解を超えていたのも当然と言えるでしょう。
人間達はレジシリーズを恐れるあまりに閉じ込めたのではなく、願いを託したのです。
いつか勇気ある者が封印を解き、ポケモン達と希望に満ちた未来を作ってくれることを。
レジシリーズもその願いを知っているからこそ、封印されたその場所で、「勇気ある者」が現れるのを待ち続けているのです。
レジシリーズと「珠」
ちなみに、レジギガス(条件付きであればレジシリーズ全てが存在するとも言える)のいるシンオウ地方にも、「しらたま」「こんごうだま」「はっきんだま」という珠のアイテムがあります。こちらはポケモンの持ち物ですが、レジシリーズと珠の関連性という点では、上記の仮説を裏付ける要素になるのではないかと思います。
シンオウ神話の「トバリのしんわ」にも類似性を見出すことが出来そうです。「珠」も「つるぎ」も人間の造ったものという共通点がありますから。
2008/12/21