LEGENDSアルセウスの背景を考える

 これまでシンオウ神話の伝承を主体に考察してきたが、今回はLEGENDSアルセウスの設定を交えて考えていく。
 所々端折っているので、シンオウ考察まとめで概要のみ見ておくとわかりやすいと思う。

時系列について

 ポケモン食の概念が見られないこと、コンゴウ団の教えの「今この時間をみんなと生きることが大事」のように時間の概念があること。このことから、LEGENDSアルセウスの舞台の時代は伝承成立の歴史のうち後期にあたることは明らかである。
 推測になるが、一部の伝承(シンオウ昔話など)はヒスイ地方には残っていないと思われる。

 また、「はるか昔」という言葉通り、ダイヤモンド・パールの時代から相当昔のようだ。ヒスイ地方と現代のシンオウ地方の地形がかなり違うこと、ヒスイ地方で活動している集団やキャプテン制度が(情報すら)残っていないことが根拠として挙げられる。


ハードマウンテンっぽい島。ダイパ時代よりかなり小さめ。
赤い丸のところに小舟らしきものがあるので、上陸はしているかもしれない。

 新年明けに公開されたCMにハードマウンテンらしき活火山の映像があったので、ヒスイ地方時代ではあの島は成長途中にあるようだ。
 ダイヤモンド・パールのハードマウンテンには、ヒードランにまつわる伝承がある。人が定住を始め、更に伝承が生まれて定着するには、百年かそこらでは短いのではないだろうか。

 時系列とは関係無いが、ヒスイ地方の地図やプロモーション映像から、湖の中央の小島が浮かび上がっていることがわかる。


プロモーション映像の湖の小島と思われるもの。

 ダイヤモンド・パールでは、アグノムがギンガ団に捕らえられたことに呼応するように、シンジ湖とエイチ湖の小島が浮上するというイベントがあった。この時代にも、湖のポケモン達に異変が起きているのだろうか。
 プロモーション映像では謎の雷が発生している。空に起きる異変といえば、ダイヤモンド・パールの槍の柱で、ディアルガ(パルキア)が出現した時にも同じようなことが起きていた。その際は湖のポケモン達によって鎮められたが……。
 浮上した島と謎の雷。これらはヒスイ地方のポケモン達のバランスが崩れていることを示唆しているのかもしれない。

コンゴウ団、シンジュ団について

 コンゴウ団とシンジュ団は、明言はされていないがヒスイ地方に定住している人々の集団のようだ。それぞれの教えと合わせて、金剛=ダイヤモンド=ディアルガ(時間)、シンジュ=パール=パルキア(空間)の繋がりを示唆している。
 どのような生活をしているのかは不明だが、ポケモンを食べたりはしていないだろう。

 ヒスイ地方の地図にはそれぞれの団のものと思しきテントがあるが、シンジュ団はキッサキ、コンゴウ団はカンナギ(あるいはトバリ?)を拠点としているのだろうか。
 キッサキやカンナギはシンオウ地方の時代に遺跡が残る場所なので、ヒスイ地方の時代にそれらがどうなっているのかが気になるところだ。

イチョウ商会について

 イチョウ商会の人が見に着けている服やテントには銀杏の葉のマークがあるが、色も含めてギラティナに似ていると言われている。消去法的にも、ギラティナと関係している可能性は高いだろう。


イチョウ商会のマークと、ギラティナの頭部。似てなくもない……?

 彼らは別の地方から来た(公式サイトより)という。そこから考えると、トバリの異変を機にシンオウ地方を離れた人々(=シント遺跡を建てた人)の末裔あたりが考えられる。商いをしながら自分達のルーツを探しており、その一環としてヒスイ地方に立ち寄ったといったところだろうか。

 シンジュ団の教えは、昔ヒスイ地方を去った者がいるために生まれたのかもしれない。

「シンオウさま」とは?

 コンゴウ団とシンジュ団は、「シンオウさま」という存在を信仰しているという。この「シンオウさま」とは何なのだろうか。

 シンオウ昔話考察で、「昔の人は、ポケモン達の世界は森の奥にあると考えていた」という可能性を挙げた。シンオウの本来の意味は「森の奥にいるもの(森奥)」で、もとはポケモン全般を指していた言葉なのではないか。
 信仰の変化とともに本来の意味は失われ、更にその過程で解釈が異なるシンジュとコンゴウの「シンオウさま」が生まれたのだろう。

シンオウ神話はどこから来た?

 ヒスイ地方には昔の伝承は残っていないとしたが、それではダイヤモンド・パールのミオ図書館にある神話はどこから来たのか?

 昔は東北地方の辺りは「道奥(みちのく)」と呼ばれていた。都から遠いところ(奥)を指していたのが由来であるが、ポケモン世界のカントーやジョウト、シンオウ地方が現実の日本と同じ地理関係と仮定すると、シンオウは道奥より更に遠いところになる。

 ジョウト地方の人々は、遠くの地を「深奥(シンオウ)」と呼び、そこから来た人々が持っていた伝承を「シンオウの神話(昔話)」と呼んだ。そしてジョウトで記録された伝承が、イチョウ商会の人々を介してヒスイに伝わったのではないだろうか。

その他気になること

コトブキとミオ

 今のところ判明している拠点はコトブキムラとベースキャンプ(こちらは場所不明)のみだが、クロガネシティやミオシティがある場所がどのようになっているかが気になるところ。

 コトブキシティは、クロガネのポケモン達の力を借りて山を切り崩した所に出来たという成り立ちがある。「ポケモンと人が分かたれていた時代」の例に漏れず、コトブキムラも「ポケモンを恐れる人々が寄り添って生活する場所」と語られている(紹介映像)。
 コトブキムラは銀河団の拠点をはじめとした様々な建物があり、山を拓いたとするとかなり大規模に見える。しかし時代背景を考えると、コトブキムラはポケモンの力を借りてつくったとは考えにくい。
 ヒスイ地方の地図を見ると、コトブキムラと思われる集落は海に面している。コトブキムラがある場所は後のミオシティなのかもしれない。

謎の遺跡

 最初に公開されたプロモーション映像の時点から、遺跡と思われるものが映ることがあった。公式サイトの地図にも拡大するとそれらしきものがあるが、映像を見る限り複数個所あるようだ。紹介映像(youtube)では、湿地のような場所にも同様の柱が見られる。
 形は槍の柱に似ているように思えるが、これらの遺跡を遺した文明についても触れられるのだろうか。


ヒスイ地方の遺跡? クロガネ辺りと思われる。

2022/01/08