大昔のシンオウで起きた「何か」について考える

 リメイク前の考察まとめはシンオウ考察のまとめページ、リメイク&LEGENDSアルセウスはトップページからご覧ください。

ここ is 何

 シンオウ神話について、トバリシティ周辺に鍵があるのでは?という推測は、過去の考察で何度か述べてきた。
 信仰の起源と思しき場所であり、同時に途絶えた原因があるかもしれない土地。ゲーム中ではそれらを示す情報はないが、根拠となる要素をいくつか拾うことが出来た。ので、トバリにまつわる与太話について整理してみました。

信仰が生まれた場所と考える根拠

狩猟に適した環境

 以前の考察でも述べたように、ポケモンが多いこと、温暖な気候であること。ズイおよびトバリ付近の地域は狩猟生活に適した条件を満たしていると言っていいだろう。ズイに遺跡があることも根拠に出来る。

 また、ズイタウンの南には川(209番道路)、トバリ南東(222番道路)には砂浜がある。シンオウ昔話で語られている、ポケモンの骨を流すという習慣が生まれやすかったのではないだろうか。

周辺の地理関係

 トバリシティの南には送りの泉がある。ギラティナ考察で触れた通り、ポケモンの骨を流すことによって再び現世に戻って来るという思想は、ギラティナの存在が大元になっていると思われる。
 また、更に南にはリッシ湖、東側にテンガン山と、シンオウ神話にまつわるポケモンと結びつきのある場所も地理的に近い。生活圏を広げるとともに、遭遇した特別なポケモンを信仰の対象に組み入れていったであろうことは、想像に難くない。

何かが起きたと考える根拠

「トバリの神話」の存在

 この神話についての詳細な考察は、過去の考察(シンオウ神話考察2単体考察)を参照。
 生まれた経緯がいずれにせよ、内容は狩猟生活が継続できなくなったことを示している。悲劇的な出来事は記録や遺構に残りやすい。現実でも同じことが起きた可能性は十分考えられる。

過去のズイタウン

 ズイタウンは「昔は何もなかった道路だった」という情報をNPCから聞くことが出来る。ズイタウンやトバリシティで狩猟生活を営み、そのまま何事もなく続いていたとすれば、ズイタウンは古い集落から町へと発展していたはずだ。しかし前述の情報から、ズイ近辺は何もない空白地帯であったことがわかる。

 トバリシティはズイタウンと比べると賑やかな街だが、空白地帯だったゆえに開発が容易であったという見方も可能だ。

神話におけるギラティナの不在

 以下は、プラチナ版のテンガン山のイベントのシロナの台詞である。

 しんわを しらべていて わかったの
 この せかいを つくるとき
 うみだされた ディアルガと パルキア
 じつは そのとき もういっぴき
 ポケモンが うまれていたらしいの

 ディアルガにも パルキアにも
 まけないぐらいの ちからをもちつつ
 かたられることの なかった ポケモン
 それが ギラティナ!

 ギラティナは、ディアルガとパルキアと共に創造された存在であると明確に示されている。これはシント遺跡のみつぶたいからも裏付けられる。つまり、ギラティナもいた創世神話がどこかの時代で存在したということだ。

 これらの情報を組み合わせて気になるのは、シンオウ地方の各地に散逸しているプレートに刻まれた文章では既にギラティナが欠けているという点だ。
 内容はミオ図書館で読める「はじまりの神話」と類似しており、おそらく「はじまりの神話」より古い時代の創世神話と推測する。そうすると、シロナの情報はプレートより更に古いものということになる。
 プレートの「きょじん」は、狩猟生活を営んでいた人々の思想が巨人解体型神話として表れたものと思われる(プレート考察参照)が、シロナの情報と齟齬が生じる。狩猟生活をしているならばギラティナ信仰があるはずなのに、ギラティナの存在が欠けていることになってしまう。

 考えるに、ギラティナはトバリ付近という限られた地域でのみ信仰されていたのではないだろうか。他の土地はどうかというと、湖のポケモンがギラティナの役割を果たしていたのだろう。湖のポケモン達にまつわる神話に創世神話の要素が含まれている(湖ポケモン考察参照)のは、この影響と思われる。
 湖のポケモン達の神話は残り、ギラティナの神話が失われてしまったのは何故か。彼らが住んでいた地域で大きな異変が起き、彼らの信仰が途絶えてしまったからではないだろうか。

 完全に途絶えたわけではなく、南東から海へと進出した人々がジョウト地方に辿り着き、そこにギラティナの痕跡を遺している。彼らがシンオウを離れたのは、異変によってその土地で生きていけなくなった故なのかもしれない。

リッシ湖周辺の状況

 シンオウ地方の三つの湖は、「~のほとり」というフィールドを隔てて、他の町や道路とつながっている。エイチ湖とシンジ湖の畔は草むらのみだが、リッシ湖のみレストランがあり、更に隣の213番道路にはリゾートホテルが建てられている。リッシ湖のみ他の湖と異なり、人の手によって開発されているのだ。

 現代では神や仏の実在を信じる人間は少なくなったが、神社や寺などを訪れる時に畏まった気持ちになるのを、誰しも経験したことがあるはずだ。リッシ湖に人の手が入っているのは、湖に特別なものを見出す人々……シンオウ神話の信仰を受け継いだ者が周辺地域にいなかったためではないだろうか?

2021/08/21 ヒスイ地方の地形

 Youtubeで公開されたポケモンプレゼンツ(Pokémon Presents 2021.8.18)にて、DPリメイクとポケモンLEDENGSアルセウスの新情報が公開された。

 昔はヒスイ地方と呼ばれていたシンオウ地方。それぞれの時代の様子は、各公式サイトにて確認できる。


二つの時代のシンオウ地方比較
画像引用元
ヒスイ地方(LEGENDS公式サイト)
シンオウ地方(DPリメイク公式サイト)

 ヒスイ地方の北東にある大きな湾が気になるところだ。自然にできたにしては、あまりに綺麗な円になっている。また、後のシンオウ地方ではこの地形は失われているが、トバリの東にあたる位置のようだ。波の浸食で砂浜の部分が無くなったのだろうか。
 いずれにせよ、トバリに何かしら起きた可能性は高くなった。LEGENDSより更に過去のことではあるが、作中で何かしら触れられるかもしれない。本来の地形はどのようなものだったのだろうか。

 この地形が、トバリという地名を生んだ可能性もある。トバリ(帳)という言葉は、覆い隠すことの例えとしても使われるからだ。

と‐ばり【帳・帷】
物を隔て区切るもの、覆い隠して見えなくするもののたとえにいう。

コトバンクより

 隕石落下によって大地が消し飛んだ様を目の当たりにして、人々は見えなくなった土地=帳の土地と呼び始めたのかもしれない。



隕石とギラティナ

※ここから電波

てんくうから いんせきを おとす。つかうと はんどうで じぶんの とくこうが がくっと さがる。

ポケモンWiki「りゅうせいぐん」

 上記はポケモンをプレイしている人であれば御存じの、ドラゴンタイプの技「りゅうせいぐん」の説明文だ。実装されたのは偶然にもこの世代である。
 隕石と言えばトバリシティ。トバリで起きた異変の原因が隕石だとすると、それがギラティナの仕業であると結び付けられた可能性がある。そこからギラティナの「暴れ者ゆえ追い出された」話が生まれたのかもしれない。
 りゅうせいぐんってなつき度が最大にならないと覚えられない技ですよね

2021/08/01